警備員・清掃員が辞めたいとき|シフトの穴・貸与品の返却と退職の進め方

※本記事にはプロモーションが含まれます。

警備・清掃・軽作業の仕事は、現場ごとに配置が決まり、直行直帰で働くことが多い職種です。社内で相談できる相手が身近におらず、「誰にどう伝えればいいのか分からない」まま時間が過ぎてしまうことがあります。この記事では、契約形態の見分け方、シフト制での退職の伝え方、制服や鍵の返却といった実務を、条文にもとづいて整理します。

目次

結論|警備・清掃・軽作業の退職で押さえる5つの論点

論点考え方根拠
まず確認すること雇用契約か、請負・業務委託かで適用される法律が変わる。契約書の表題と報酬の支払われ方を先に確認する前提の確認
退職の申し出期間の定めのない雇用であれば、いつでも解約を申し入れることができ、申入れの日から2週間で雇用が終了する民法627条1項
シフトの穴人員配置は事業者の業務。代わりの確保を退職の条件とする法律上の規定はない規定なし
制服・研修費の請求労働契約の不履行について違約金や損害賠償額をあらかじめ定める契約は禁止されている労基法16条
退職前の年次有給休暇請求した時季に与えるのが原則。退職日以降には他の時季がないため、時季変更権の余地は限られると一般に解されている労基法39条5項

この表は期間の定めのない雇用契約を前提としています。有期契約、派遣、請負・業務委託の場合は枠組みが変わるため、次の見出しを先に読んでください。

警備・清掃の仕事が辞めにくいのは、あなたのせいではない

警備・清掃・軽作業は、現場ごとに必要な人数が決まっている働き方です。一人抜けた影響がその日の現場に直接出るため、「代わりが見つかるまで」と言われやすい構造があります。加えて直行直帰が多く、同僚や上司と顔を合わせる機会が少ないため、切り出すきっかけをつかみにくい。ただし人員を確保するのは事業者の業務であり、辞めにくさは職場の体制の側にあります。

まず確認すること|雇用契約か、請負・業務委託か

この職種群は、同じ現場で働いていても契約の形が人によって違うことがあります。手続きの進め方が変わるので、最初に確認してください。

  • 直接の雇用:警備会社・清掃会社と雇用契約を結んでいる。退職の申し出は自社に対して行う
  • 派遣:雇用契約の相手は派遣会社。就業先の現場ではなく、派遣会社に申し出る
  • 請負・業務委託:雇用契約ではないため民法627条1項は適用されず、契約書の解約予告の条項が基準になる

見分けの手がかりは、契約書の表題、給与明細の有無、雇用保険・社会保険の加入先、報酬が「賃金」か「業務委託料」かです。書類が手元にない場合は、会社に契約書の写しと就業条件の書面を求めてください。パート・アルバイトとして働いている場合の考え方はパート・アルバイトの退職にまとめています。

退職の申し出は、いつ・誰にすればよいか

期間の定めのない雇用契約であれば、退職の申し出について定めているのは民法627条1項です。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

民法627条1項

就業規則に「退職の1か月前までに申し出ること」といった予告期間が置かれていることがあります。これと民法627条1項の関係は見解が分かれており、就業規則の定めが常に無効になるとは限りません。実務上は就業規則の期間に沿って申し出るほうが無用な争いを避けられます。手続きの全体像は退職代行を使う場合の流れ民法627条の正しい読み方を参照してください。

直行直帰で上司と会えない場合は、現場の同僚ではなく、雇用契約の相手である会社の担当部署へ伝えます。電話がつながらないときは、いつ・誰に・何を伝えたかが残る方法(メール、書面)を選んでおくと、後から「聞いていない」と言われたときの手がかりになります。

シフトの穴と「代わりが見つかるまで」

言われること考え方
代わりが見つかるまでは辞められない人員配置は事業者の業務。代替要員の確保を退職の条件とする法律上の規定はない
次のシフトが組んである希望として受け止めることはできるが応じる義務はない。応じる場合は退職日を書面で確定させる
急に辞めたら現場に損害が出るあらかじめ違約金や賠償額を定める契約は労基法16条で禁止。退職したこと自体を理由に当然に請求できるものではない
研修費・資格取得費を返してほしい取り決めの内容による。契約書・誓約書の文言を確認する

詳しくは退職の引き止めへの対応退職と損害賠償請求を参照してください。

制服・鍵・IDカードの返却

この職種群は貸与品が多く、返却が退職手続きの実質的な最終工程になります。現場に置いたままにすると、後日の連絡が長引く原因になります。

  • 制服・作業着・安全靴・ヘルメットなどの支給品
  • 現場の鍵、入館証・IDカード、警備業務で使う装備品
  • 社用携帯、業務用の端末やアプリのアカウント
  • 返却は一覧を作り、返却日と受け取った人を控える。郵送する場合は記録が残る方法を選ぶ

紛失した貸与品の弁償を求められることがありますが、あらかじめ金額を定めておく取り決めは次の条文で禁止されています。

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

労働基準法16条

この条文が禁じているのは「あらかじめ金額を決めておくこと」で、実際に生じた損害の賠償請求を一律に禁じた規定ではありません。また、費用を最後の給与から一方的に差し引かれている場合は、労基法24条1項が定める「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」という原則との関係が問題になりえます。同項ただし書が、法令に別段の定めがある場合や、労働者の過半数で組織する労働組合等との書面による協定がある場合の控除を定めているためです。私物と貸与品の整理は私物の引き取りと貸与品の返却にまとめています。

退職前の年次有給休暇

シフト制でも、要件を満たせば年次有給休暇は発生します。年休の時季には次の定めがあります。

使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

労働基準法39条5項

ただし書が認めているのは「他の時季に与える」ことです。退職日以降には他の時季が存在しないため、退職直前の年休取得に時季変更権を行使する余地は限られると一般に解されています。これは条文に明記されたものではなく判例・学説上の整理です。詳しくは有給休暇を拒否されたときを参照してください。

職種によって異なる事情

  • 警備員:常駐先ごとに勤務が組まれ、資格や研修が現場配置と結びついていることがある。装備品と入館証の返却先を先に確認する
  • 清掃員:早朝・深夜の単独勤務が多く、上司と会う機会が少ない。連絡手段と伝達の記録を意識する
  • 軽作業・倉庫スタッフ:派遣や短期契約の割合が高い。申し出る相手は就業先ではなく雇用契約を結んだ会社になる

職種別の記事は順次公開予定です。退職後の仕事探しは、住まいの地域を管轄するハローワークで相談できます。なお、心身の不調を感じている場合は手続きの前に医療機関に相談してください。働く人のメンタルヘルスに関する公的な情報と相談窓口は、厚生労働省の「こころの耳」にまとめられています。

退職代行を使う場合に確認すること

自分で伝えるのが難しい場合、退職代行という選択肢があります。依頼先でできる範囲が違い、その根拠のひとつが次の条文です。

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

弁護士法72条

この条文との関係から、民間企業の退職代行は意思を伝えることが中心で、未払い賃金などの交渉は一般に取り扱えないと解されています。労働組合が運営するものは、ただし書の「他の法律に別段の定めがある場合」として労働組合法にもとづく団体交渉ができるとされ、弁護士は法律事務として交渉や請求まで扱えます。なお、請負・業務委託で働いている場合は労働者を前提とした仕組みが使えないことがあるため、依頼前に契約形態を伝えて確認してください。

3つの運営主体の違いは退職代行の運営主体の違い、料金の実際は退職代行の料金データベースで確認してください。

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参考文献

最終更新:2026年8月

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この記事を書いた人

深町 悠のアバター 深町 悠 フリーランスライター

フリーランスライターとして複数のメディアで執筆に携わる。退職代行データベースでは、記事を作成する際に法令や厚生労働省の公開情報など一次情報にあたることを徹底している。

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