転職先が決まっていない退職|健康保険・年金・失業給付の手続き

※本記事にはプロモーションが含まれます。

転職先が決まらないまま辞めると、それまで会社がまとめて処理していた手続きを自分でやることになります。判断そのものより、この切り替えを知らないまま辞めるほうがつまずきます。何をいつ決める必要があるのかを先に整理します。

目次

結論:退職後に自分で動く手続き(早見表)

項目やること窓口・確認先
健康保険任意継続・国民健康保険・家族の被扶養者の3つから選ぶ任意継続は加入していた保険者/国民健康保険は市区町村
年金国民年金第1号(または第3号)への切替手続き住所地の市区役所または町村役場
失業給付ハローワークで求職の申込みをして離職票を提出する住居を管轄するハローワーク
住民税退職後の納め方を確認する市区町村からの通知

決めてから辞めるのが原則、ただし例外もある

一般的には、転職先を決めてから退職するほうが収入の空白期間を避けられ、精神的な余裕を持って転職活動できるため推奨されます。ただし、心身の限界やハラスメントなど、今の職場に留まること自体がリスクになっている場合は、転職先が決まっていなくても退職を優先すべきケースもあります。

次の3つは、決まっていない状態での退職が合理的と考えられる場面です。

  • 心身が限界に近く、これ以上働き続けることで健康を損なうリスクが高い場合
  • パワーハラスメントなど、在籍し続けること自体が被害の継続につながる場合
  • 家族の介護など、在職しながらの転職活動が現実的に難しい事情がある場合

心身の不調が続いている場合は、辞めるかどうかの前に医療機関で相談してください。厚生労働省の「こころの耳」でも相談窓口が案内されています。判断がつかない段階のセルフチェックは限界かもしれないと感じたらにまとめています。

健康保険は3つの選択肢から選ぶ

退職すると会社の健康保険の資格を失います。次の会社にすぐ入らない場合、選択肢は3つです。

  • 任意継続/それまで加入していた健康保険に、退職後も個人で加入し続ける
  • 国民健康保険/住んでいる市区町村の窓口で加入する
  • 家族の被扶養者になる/配偶者や親が加入している健康保険の扶養に入る

このうち任意継続は、期限を過ぎると選べなくなります。協会けんぽは加入の条件として、次の2つを満たすことが必要としています。

  • 資格喪失日の前日までに健康保険の被保険者期間が継続して2か月以上あること
  • 資格喪失日(退職日の翌日等)から20日以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出すること

郵送の場合は書類が20日以内に到着している必要があるとされているため、退職してから考え始めると間に合わないことがあります。加入していたのが健康保険組合の場合は、その組合の定めを確認してください。

どれを選ぶかは保険料の額で変わり、その額は前年の所得や扶養している家族の人数によって人それぞれです。任意継続の保険料は加入していた保険者、国民健康保険の保険料は市区町村に問い合わせれば試算してもらえます。両方を聞いてから決めるのが確実です。

年金は自分で切り替える

日本年金機構は、厚生年金保険に加入していた人が退職してしばらく次の会社に入らない場合、その期間は国民年金第1号被保険者の手続きを行い、国民年金保険料を納める必要があるとしています。配偶者が加入する健康保険の被扶養者になる場合は、第3号被保険者の手続きになります。

見落としやすいのが、自分に扶養されていた配偶者の扱いです。同機構は、退職した人に扶養されていた配偶者も同時に国民年金第3号被保険者の資格を喪失するため、第1号被保険者の手続きが必要だとしています。自分の分だけ手続きして終わりにしないでください。

第1号被保険者の手続きについて、同機構は次のように案内しています。手続き先は住所地の市区役所または町村役場、提出書類は「国民年金被保険者関係届書(申出書)」、提出期限は退職日の翌日から14日以内、提出者は本人または世帯主です。持ちものは「基礎年金番号通知書」または年金手帳など基礎年金番号を明らかにできる書類、あるいはマイナンバーカードなどとされています。

あわせて同機構は、退職直後に手続きを行う場合、加入していた厚生年金保険等の資格喪失日を証明できるもの(離職票等)が必要になる場合があるとしています。離職票の受け取りをここでも使うことになるので、辞める前に希望を伝えておいてください。

保険料を納めるのが難しい場合について、同機構は、所得が少ないなど経済的に困難な場合には申請して承認を受けると納付が免除になる場合があり、退職(失業等)により納付が困難な場合には特例免除を申請できるとしています。払えないからと放置せず、窓口で申請の相談をしてください。

失業給付の入口

失業給付(基本手当)の手続きは、住居を管轄するハローワークで求職の申込みを行ったうえで、離職票を提出する流れとされています(厚生労働省・ハローワークインターネットサービス)。

受給できる条件、支給が始まる時期、受け取れる期間は、被保険者だった期間や離職の理由によって変わります。個々の事情で結論が変わる部分なので、ここで一律の日数を示すことはしません。窓口で自分の場合を確認してください。

前提として離職票が必要になります。会社に希望を伝えていないと手続きが進まないことがあるため、辞める前に伝えておいてください。届かない場合の動き方は離職票がもらえないときにまとめています。

お金の見積もりは固定費から逆算する

「生活費の何か月分あれば安心か」という目安がよく語られますが、必要な額は住んでいる地域、家賃、扶養している家族の有無で大きく変わります。一般的な月数を当てはめるより、自分の固定費を書き出して逆算するほうが実態に合います。

書き出す項目は次のとおりです。

  • 家賃・住宅ローン、水道光熱費、通信費
  • 健康保険料(任意継続と国民健康保険の両方を試算してもらった額)
  • 国民年金保険料(免除を申請する場合はその見込み)
  • 住民税(退職後の納め方を市区町村に確認した額)
  • 保険・サブスクリプションなど毎月引き落とされているもの

在職中は給与から天引きされていた保険料や税金が、退職後は自分で納める形に変わります。この切り替えを計算に入れていないと、想定より早く貯金が減ります。数字が出せない項目は空欄のままにせず、窓口に問い合わせて埋めてください。

ブランクの説明のしかた

転職活動における離職期間(ブランク)は、正直に伝えたうえで、その期間に何をしていたか(療養、資格取得、家族の事情への対応など)を簡潔に説明できるよう準備しておくと、採用担当者の不安を軽減できます。長期化しそうな場合は、期間中に何らかの学習や活動を行っておくと説明しやすくなります。

退職代行を使ったかどうかを説明する必要はありません。書類に記載される項目でもないため、この点を気にして説明を組み立てなくて大丈夫です。詳しくは退職代行を使うと転職で不利になる?を参照してください。

離職期間中は、転職エージェントに登録して求人紹介や書類添削のサポートを受けながら活動を進める方法もあります。得意な年代・業界がそれぞれ異なるため、複数を比較したうえで使うかどうかを決めてください。

よくある失敗と回避のしかた

  • 任意継続の期限を過ぎてから比較を始める/協会けんぽは資格喪失日から20日以内の提出を条件としています。退職前に試算を頼んでおきます
  • 自分の年金の切替だけして配偶者の分を忘れる/扶養されていた配偶者も第3号の資格を失います
  • 国民年金保険料を払えないまま放置する/免除や特例免除の申請ができます
  • 離職票を希望せずに辞める/失業給付だけでなく、国民年金の手続きでも必要になる場合があります
  • 在職中の手取り額で生活費を見積もる/退職後は保険料と税金の負担のしかたが変わります

よくある質問

健康保険は任意継続と国民健康保険のどちらが安いですか

人によって逆転するため、一律には言えません。前年の所得や扶養している家族の人数で変わります。加入していた保険者と市区町村の両方に問い合わせて、金額を出してもらってから比べてください。

手続きが遅れてしまったらどうなりますか

日本年金機構は、国民年金の加入手続きが遅れた場合に「届出はお済みですか(国民年金加入のご案内)」が届く場合があるとしています。健康保険についても、切り替えが済んでいないと医療機関にかかったときの負担が変わります。どちらも放置せず、市区町村の窓口に事情を伝えて相談してください。

退職代行を使っても失業給付の手続きはできますか

手続きの内容は退職の伝え方によって変わるものではありません。ただし離職票の受け取りは必要なので、依頼時に離職票を希望することと送付先を伝えておいてください。

辞めた後にやることの全体像を知りたい

退職後にやること一覧に手続きをまとめています。返却物と受け取る書類は退職時の私物・貸与品の返却を参照してください。退職代行を使う場合の流れは退職代行の利用の流れ、依頼先の選び方は運営主体3類型料金データベースにあります。

参考文献:全国健康保険協会「任意継続の加入条件について」日本年金機構「会社を退職したときの国民年金の手続き」日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」厚生労働省「こころの耳」 最終更新:2026年8月

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この記事を書いた人

深町 悠のアバター 深町 悠 フリーランスライター

フリーランスライターとして複数のメディアで執筆に携わる。退職代行データベースでは、記事を作成する際に法令や厚生労働省の公開情報など一次情報にあたることを徹底している。

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