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退職したのに離職票が届かない、会社に聞いても話が進まない。失業給付の手続きが止まってしまうため、待つほど不安が大きくなる状況です。この記事では、会社側にどこまでの手続きが定められているのかを条文で確認したうえで、届かないときに本人側から動けるルートを整理します。
結論:状況別にどう動くか(早見表)
| 状況 | まずやること | 根拠 |
|---|---|---|
| 退職して間もなく、まだ届いていない | 会社に離職票を希望する旨を伝えたか確認する | 雇用保険法施行規則7条3項 |
| 希望は伝えたが届かない | 会社に離職証明書の交付を求める | 同規則16条 |
| 会社が離職証明書を出したので請求したい | 離職証明書を添えてハローワークに離職票の交付を請求する | 雇用保険法施行規則17条1項2号 |
| 会社が離職証明書も出さない | ハローワークに相談する(被保険者でなくなったことの確認を本人から請求できる) | 雇用保険法8条 |
| 離職理由の区分に納得できない | ハローワークの窓口で異議を申し出る | (条文ではなく窓口での手続き) |
| 会社と直接やりとりしたくない | 退職代行の依頼時に書類の受け取り方法を伝えておく | (依頼内容の設計) |
離職票は「希望した場合」に手続きが行われる
離職票(雇用保険被保険者離職票)は、失業給付(基本手当)を受けるためにハローワークへ提出する書類です。会社が直接発行するのではなく、会社がハローワークに届出をしたうえで、ハローワークから交付される仕組みになっています。
会社側の届出義務は雇用保険法7条にあり、具体的な期限と添付書類は同法の施行規則が定めています。
事業主は、法第七条の規定により、その雇用する労働者が当該事業主の行う適用事業に係る被保険者でなくなつたことについて、当該事実のあつた日の翌日から起算して十日以内に、雇用保険被保険者資格喪失届(略)を(略)提出しなければならない。この場合において、当該適用事業に係る被保険者でなくなつたことの原因が離職であるときは、当該資格喪失届に、次の各号に掲げる者の区分に応じ、当該各号に定める書類を添えなければならない。
一 次号に該当する者以外の者 雇用保険被保険者離職証明書(略)及び賃金台帳その他の離職の日前の賃金の額を証明することができる書類(雇用保険法施行規則7条1項)
ここで注意したいのが、次の3項です。
事業主は、第一項の規定により当該資格喪失届を提出する際に当該被保険者が雇用保険被保険者離職票(略)の交付を希望しないときは、同項後段の規定にかかわらず、離職証明書を添えないことができる。ただし、離職の日において五十九歳以上である被保険者については、この限りでない。(雇用保険法施行規則7条3項)
つまり、本人が離職票を希望しない場合、会社は離職証明書を添えなくてよいことになっています。退職時に希望を伝えていなかったために手続きが進んでいない、というケースはここから生じます。まず確認すべきは「離職票が要る」と会社に伝わっているかどうかです。
いつ届くのかは一律に決まっていない
会社が資格喪失届を出す期限は、上の条文のとおり定められています。ただしこれは会社がハローワークに届け出るまでの期限であって、離職票が自分の手元に届くまでの日数ではありません。
手元に届くまでには、会社の届出、ハローワークでの確認、交付と送付という段階があり、所要日数を定めた規定はありません。「何日で届くのが普通か」を基準に判断するより、会社が届出そのものをしたかどうかを確かめるほうが確実です。これはハローワークの窓口で確認できます。
会社が動かないときに本人側から動く3つのルート
ルート1:会社に離職証明書の交付を求める
会社に対して離職証明書そのものの交付を求めることができます。
事業主は、その雇用していた被保険者が離職したことにより被保険者でなくなつた場合において、その者が離職票の交付を請求するため離職証明書の交付を求めたときは、これをその者に交付しなければならない。ただし、第七条第一項の規定により離職証明書を提出した場合は、この限りでない。(雇用保険法施行規則16条)
「離職票の交付を請求するために離職証明書がほしい」と目的を明示して求める形になります。求めた日と方法を記録に残しておくと、次のルートに進むときに説明しやすくなります。
ルート2:離職証明書を添えてハローワークに請求する
離職証明書を受け取れたら、それを添えてハローワークに離職票の交付を請求できます。施行規則17条1項は、ハローワークの長が離職票を交付しなければならない場合として、会社が資格喪失届に離職証明書を添えたとき(1号)のほかに、本人が離職証明書を添えて請求したとき(2号・3号)を挙げています。会社経由の一本道ではない、ということです。
ルート3:ハローワークに相談する
会社が離職証明書も出さない場合は、ハローワークに状況を伝えて相談します。雇用保険法8条は「被保険者又は被保険者であつた者は、いつでも、次条の規定による確認を請求することができる」と定めており、被保険者でなくなったことの確認を本人から請求する道が開かれています。
窓口では、会社名と所在地、雇用されていた期間、退職日、会社に連絡した日と内容を聞かれることが想定されます。あらかじめメモにまとめておくと話が早くなります。
離職理由の区分に納得できないとき
離職票には離職理由の区分が記載され、その内容は失業給付の取り扱いに影響します。会社が記載した理由が実態と違うと感じる場合は、ハローワークの窓口で異議を申し出ることができます。実際にどう扱われるかは窓口での確認になりますが、会社に言われたとおりに受け取るしかない、というものではありません。
申し出るときは、退職に至った経緯を裏づける材料があると話が具体的になります。退職の意思を伝えたやりとりの記録、労働条件が示された書面、勤務実態が分かる記録などが該当します。給付の内容や期間の扱いは個々の事情で変わるため、窓口で確認してください。
退職代行を使う場合・使った場合
会社と直接やりとりしたくない事情があるなら、依頼の時点で書類の扱いを決めておくと、後から連絡を取り直さずに済みます。伝えておきたいのは次の3点です。
- 離職票の交付を希望すること(希望を伝えていないと手続きが進まないため)
- 書類の送付先の住所
- 源泉徴収票・雇用保険被保険者証など、あわせて受け取りたい書類
なお、会社に未払い賃金の請求など交渉を伴う対応が必要な場合は、対応できる範囲が運営主体によって異なります。退職代行の運営主体3類型と料金データベースで確認してください。手続き全体の流れは退職代行の利用の流れにまとめています。
よくある失敗と回避のしかた
- 離職票が要ることを会社に伝えていない/施行規則7条3項により、希望しない場合は離職証明書を添えなくてよいとされています。まず希望が伝わっているか確認します
- 退職時の住所のまま連絡先を更新していない/引っ越した場合は送付先を伝えます
- 会社への連絡を口頭だけで済ませる/いつ、どの方法で、誰に伝えたかを記録に残します
- 届くまで何もせずに待ち続ける/会社が届出をしたかどうかはハローワークで確認できます
- 離職理由の区分を確認しないまま提出する/記載内容は受け取った時点で確認します
よくある質問
転職先が決まっている場合も離職票は必要ですか
離職票は失業給付の手続きに使う書類なので、空白期間なく次の会社に入る場合は使わないこともあります。ただし予定が変わる可能性を考えて受け取っておく選択もあります。転職先が未定の場合の動き方は転職先が決まっていない状態で辞めるときを参照してください。
離職票と退職証明書は同じものですか
別の書類です。離職票は雇用保険の手続きに使うもので、ハローワークが交付します。退職証明書は労働基準法22条に基づいて、本人が請求した項目について会社が交付するものです。違いは退職代行を使うと転職で不利になる?で整理しています。
会社が倒産・連絡不能の場合はどうなりますか
施行規則17条3項は、ルート2の請求をしようとする人について、事業主の所在が明らかでないことその他やむを得ない理由があるときは離職証明書を添えないことができる、と定めています。会社と連絡が取れない事情を窓口で伝えて相談してください。
離職票が届く前に失業給付の手続きは始められますか
受給の手続きは、住居を管轄するハローワークで求職の申込みを行ったうえで離職票を提出する流れとされています(厚生労働省・ハローワークインターネットサービス)。書類が用意できない事情がある場合の取り扱いは窓口で相談できます。自己判断で待たず、早めに事情を伝えるほうが状況が進みます。
離職後の他の手続きについては退職後にやること一覧、私物や貸与品の扱いは退職時の私物・貸与品の返却もあわせて確認してください。
参考文献:雇用保険法(e-Gov法令検索)/雇用保険法施行規則(e-Gov法令検索)/労働基準法(e-Gov法令検索)/厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」 最終更新:2026年8月

