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結論:有期契約は民法628条+労基法附則137条で考える
期間工の契約は、期間の定めのある雇用契約になっていることが一般的です。まず確認したいのは、自分の契約に期間の定めがあるか、あるなら期間がいつからいつまでかです。ここが分かれ道になり、根拠になる条文も変わります。契約書または労働条件通知書の契約期間欄を先に見てください。
| 状況 | 退職できるか |
|---|---|
| やむを得ない事由があるとき | 直ちに解除できる(民法628条)。該当するかは個別の事情による |
| 契約期間が1年を超え、初日から1年を経過した | 使用者に申し出れば退職できる(労働基準法附則137条) |
| 上のいずれにも当たらない | 会社と合意して契約を終了させる形が現実的 |
| 契約書に期間の定めがなかった | いつでも解約を申し入れできる(民法627条1項) |
期間工が辞めにくいのは、あなたのせいではない
期間工は、契約期間と住まいが同じ会社に結びついている働き方です。辞めることが住む場所を失うことと直結するため、他の仕事より決断の重さが大きくなります。寮で生活していると職場の人間関係と生活圏が重なるため、外に相談しにくくもなります。これは意志の弱さではなく、雇用と住居がひとつにまとめられた仕組みから生じるものです。
雇用主が誰かを先に確認する
期間工には、メーカーと直接雇用契約を結んでいる場合と、人材会社に雇用されて工場で働いている場合があります。どちらかによって、退職を申し出る相手も、契約期間の定め方も変わります。契約書または労働条件通知書の使用者欄を見て、契約の相手方が工場を運営している会社なのか、別の会社なのかを確認してください。
就業先と雇用主が違う場合、退職を伝える相手は工場の上長ではなく、雇用契約を結んだ会社になります。現場でだけ話して手続きが進まない、という行き違いはここで起きます。寮の契約も、雇用主とは別の会社が管理していることがあるため、あわせて確認しておくと段取りが立てやすくなります。
契約期間の途中で辞められる場合
期間の定めがある契約でも、途中で解除できる場合が民法628条に定められています。
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
「やむを得ない事由」に何が当たるかは、条文に書かれていません。一般には心身の不調や家族の事情などが挙げられますが、自分の状況が当てはまるかどうかは個別の事情によって判断されるため、ここで言い切ることはできません。あわせて、後段に損害賠償の定めがある点も知っておいてください。これは退職したこと自体を理由とするものではなく、当事者の一方の過失によって事由が生じた場合の規定です。
もうひとつ、契約期間が長い場合には労働基準法附則137条があります。
期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第十四条第一項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成十五年法律第百四号)附則第三条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第六百二十八条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。
対象は、引用した条文のとおり「その期間が一年を超える」契約に限られます。1年以下の契約を繰り返し更新している場合や、条文中で除外されている労働者は含まれません。自分の契約が当てはまるかは、契約書の契約期間の記載で確認してください。
なお、契約書に期間の定めがなかった場合は、根拠が民法627条1項に変わります(退職の2週間ルール)。
寮付き勤務の退去段取り
会社の寮に入居している場合は、退職と同時に住居も失うことになります。退寮の期限は会社や寮の規定によって決まります。入居時の書面や寮則に記載されているので、退職を決めたらまずそこを確認し、次の住まいを探す時間を逆算してください。
あわせて、寮費・光熱費の精算方法、私物の搬出スケジュール、住民票を寮の住所に移していた場合は転出・転入の手続きも忘れずに行いましょう。退去時の原状回復費用の負担範囲は契約書や寮則に記載されているはずなので、事前に確認しておくとトラブルを避けられます。
退職時のお金と持ちものについては、労働基準法23条1項に定めがあります。
使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があつた場合においては、七日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。
上の条文のとおり、この定めは「権利者の請求があった場合」に働きます。請求しなければ起算しないため、退職を伝えるときに、最後の給与の支払い方法と、預けているものの返却について自分から確認しておくのが確実です。返すものと受け取るものの整理は私物・貸与品の返却、離職票が届かない場合は離職票がもらえないときを参照してください。
契約満了を待つ選択肢との比較
やむを得ない事由とまでは言えないケースでは、契約途中で退職するか、満了まで働き続けるかを比較検討することになります。
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| 契約途中で退職 | 心身の負担をすぐに減らせる | 会社との合意が必要。寮を出る時期が前倒しになる |
| 満了まで働く | 契約どおりに終了できる。慰労金などの制度の有無と支給条件は契約書・就業規則で確認する | 負担のある状態が続く |
心身の負担が大きい場合は無理に満了まで待つ必要はありません。まずは人事担当者やメーカーの相談窓口に、正直に事情を伝えて合意退職を目指すのが現実的な進め方です。
合意して退職するときの進め方
民法628条にも附則137条にも当てはまらない場合は、会社と合意して契約を終了させる形が現実的です。合意による退職は法律が要件を定めているものではないため、話の進め方と記録の残し方が結果を左右します。
- 契約書・労働条件通知書で、契約期間と退職に関する取り決めを確認する
- 誰に伝えるかを確認する。派遣や請負で入っている場合、雇用契約の相手方は勤務先の工場ではなく雇用元になる
- 希望する最終出社日と退職日を、先に自分の側から示す
- 伝えた日付・相手・返答をメモに残す
- 寮の退去日と、給与・寮費の精算方法を同じ場で確認する
引き止められた場合の考え方は退職の引き止め、損害賠償を持ち出された場合は退職時の損害賠償請求で整理しています。
即日で動きたい場合
やむを得ない事由に該当しそうな場合や、会社との直接のやり取りが難しい場合は、退職代行を使ってすぐに動く方法もあります。具体的な依頼から退職完了までの流れは退職代行の利用の流れ、運営主体ごとの違いは退職代行の選び方まとめで解説しています。
男性の利用者が多い職場であれば、以下のようなサービスもあります。
心身の不調があるとき
体調を崩している状態では、契約や寮の段取りを考えること自体が負担になります。不調が続いている場合は、手続きより先に医療機関の受診を検討してください。働く人のメンタルヘルスについては、厚生労働省のポータルサイト「こころの耳」で相談窓口が案内されています。判断が難しいと感じるときの目安は限界のサインで整理しています。
似た立場の人へ
- 雇用形態から確認する:会社員(正社員)の場合/パート・アルバイトの場合
- 時期から確認する:試用期間中に辞めたい
- 退職後の手続きを確認する:退職後にやること
- ほかの職業を探す:職業から探す
参考文献:e-Gov法令検索 民法/e-Gov法令検索 労働基準法/厚生労働省 労働局・労働基準監督署・ハローワーク 最終更新:2026年8月


