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公務員として働いていて辞めたいと思ったとき、会社員向けの情報をそのまま当てはめると手続きを読み違えることがあります。公務員の退職は、民間企業の雇用契約の解約とは仕組みが異なるためです。この記事では、国家公務員と地方公務員それぞれの退職の根拠と、申し出から退職後の手続きまでを、条文と公的情報の範囲で整理します。
結論:国家公務員は書面での申出と承認、地方公務員は所属先の規則を確認
| 立場 | 退職の進み方 | 根拠・確認先 |
|---|---|---|
| 国家公務員(一般職) | 書面で辞職を申し出て、任命権者が承認する。特に支障のない限り承認するものとされている | 国家公務員法61条/人事院規則8-12 51条 |
| 地方公務員(一般職) | 地方公務員法には辞職の手続きを直接定めた条文がなく、所属先の規則等を確認する | 所属先の人事担当・服務担当 |
| 会計年度任用職員 | 会計年度任用の職は、一会計年度を超えない範囲で置かれる職。途中で辞める手続きは任用の条件と自治体の規則で確認する | 地方公務員法22条の2/任用時の通知書 |
| 公立学校の教員 | 任命権者や手続きの経路が他の職員と異なる場合がある | 教員の退職で詳しく解説 |
公務員で退職が言い出しにくい構造
国家公務員の退職は、会社員のように本人の申入れだけで完結する形ではなく、任命権者の承認の手続きを経る形になっています(国家公務員法61条・人事院規則8-12 51条)。意思を伝えたあとも、承認を待つ立場に置かれます。手続きが会社員と違って見えるのは制度の仕組みによるもので、あなた個人の弱さの問題ではありません。
国家公務員:書面で申し出て、任命権者が承認する
国家公務員法は、退職を含む身分の変動を任命権者が行うと定めています。
職員の休職、復職、退職及び免職は任命権者が、この法律及び人事院規則に従い、これを行う。
国家公務員法61条
本人の希望で辞める場合の具体的なルールは、人事院規則8-12(職員の任免)に置かれています。
任命権者は、職員から書面をもって辞職の申出があったときは、特に支障のない限り、これを承認するものとする。
人事院規則8-12 51条
この条文からは、申出は「書面」で行うこと、承認するのが原則とされていることが読み取れます。一方で、申出から何日後に辞職できるか、承認までの期限は条文に書かれていません。なお、人事院規則は国家公務員についての規則で、地方公務員には直接適用されません。
地方公務員:所属する自治体の規則で手続きを確認する
地方公務員法には、辞職の手続きそのものを定めた条文がありません。退職願の様式や提出先、提出の時期は、所属先の人事担当または服務担当に「辞職の手続きと様式」として確認してください。
また、地方公務員には民間の労働法の一部が適用されません。労働組合法については、次のように定められています。
労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)、労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)及び最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)並びにこれらに基く命令の規定は、職員に関して適用しない。
地方公務員法58条1項
同じ58条の3項では、労働基準法についても一部の規定を職員に適用しないとしています。適用されないのは「一部」の規定であり、労働基準法のすべてが外れるわけではありません。
民法627条の「2週間」は公務員にも当てはまるのか
会社員の退職でよく引用される民法627条1項は、期間の定めのない雇用契約について、解約の申入れから2週間の経過で雇用が終了すると定めた規定です(詳しくは2週間ルールの解説)。上で見たとおり、公務員の退職は民間の雇用契約の解約とは根拠となる仕組みが異なるため、民法627条1項の2週間の規定だけで退職日が決まると考えるのは適切ではないと一般に解されています。
体調が理由で出勤が難しい場合は、無断で休まず、休暇の制度を使えるかを人事担当に相談してください。民間企業の正社員との違いは会社員(正社員)が辞めたいときと並べて読むと整理しやすくなります。
退職までの進め方チェックリスト
- 退職希望日を決める(承認の手続きがあるため、希望日は申出の書面に明記する)
- 直属の上司に辞職の意思を伝え、伝えた日付と相手を記録する(書面を受け取ってもらえないときの考え方は退職届を受け取ってもらえないとき)
- 人事担当・服務担当に、辞職願の様式・宛名・提出先を確認する
- 所定の様式で書面を提出し、控え(写し)を手元に残す
- 承認されたことと退職日を、人事担当からの通知で確認する
- 担当業務の引き継ぎを、口頭ではなく書面にまとめる
- 職員証・鍵・貸与端末など返却するものを一覧にして返す
- 退職手当・共済組合・年金の手続きを、人事担当と共済組合に確認する
引き止めにあったときの考え方は退職の引き止めへの対処でも整理しています。
会計年度任用職員の場合
地方公務員法22条の2は、会計年度任用職員を「一会計年度を超えない範囲内で置かれる非常勤の職」を占める職員などと位置づけています。
民間のパートやアルバイトと同じ扱いだと思い込まず、まず任用時の条件を確認してください。民間の有期契約やパートの整理はパートを辞めさせてくれないときにまとめています。
退職後のお金:雇用保険と退職手当の違い
雇用保険に加入していて要件を満たす会社員は、ハローワークで失業給付を受けられる場合があります。一方、公務員は雇用保険の適用が除外されている場合があります。
六 国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者のうち、離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が、求職者給付及び就職促進給付の内容を超えると認められる者であつて、厚生労働省令で定めるもの
雇用保険法6条6号(この法律を適用しない者)
除外は「厚生労働省令で定めるもの」に限られており、公務員であれば誰でも一律に対象外という規定ではありません。自分が雇用保険に加入しているかは、人事担当に確認してください。
国家公務員退職手当法10条(失業者の退職手当)には、勤続期間などの要件を満たして退職し、失業している場合に、退職手当の額が失業給付に相当する額に満たないとき、その差額を退職手当として支給する仕組みがあります。地方公務員の退職手当や、金額・支給時期は、所属先の人事担当に確認してください。退職後の医療保険・年金の切り替えは、加入していた共済組合に確認してください。民間の場合の流れは転職先が決まっていない退職で整理しています。
退職代行を使う場合の注意
公務員が退職代行を使う場合、運営主体の選び方は会社員と同じにはなりません。労働組合が運営する退職代行が会社と話し合える根拠は、労働組合法6条の交渉権限にあると説明されます。ところが、地方公務員法の適用を受ける職員には同法58条1項で労働組合法が適用されず、一般職の国家公務員についても次の規定があります。
労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)、労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)、(略)及び船員災害防止活動の促進に関する法律(昭和四十二年法律第六十一号)並びにこれらの法律に基づく命令は、職員には適用しない。
国家公務員法附則6条
つまり、民間企業の場合に労働組合型を選ぶ理由になる団体交渉の仕組みは、公務員にはそのまま当てはまりません。なお、弁護士法72条は、弁護士または弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で法律事務を取り扱うことを業とすることを、この法律または他の法律に別段の定めがある場合を除いて制限する規定です。どの運営主体が公務員の依頼を受け付けているかはサービスごとに異なるため、申し込む前に各社の公式案内で対象を確認してください。運営主体の違いは退職代行の運営主体3類型、料金は退職代行の料金データベース、依頼後の流れは退職代行の利用の流れで整理しています。
心身の不調があるとき
不調が続いている場合は、手続きの整理より先に医療機関の受診を検討してください。働く人のメンタルヘルスについては、厚生労働省のポータルサイト「こころの耳」で相談窓口が案内されています。判断の目安は限界のサインで整理しています。
似た立場の人へ
- 雇用形態から確認する:会社員(正社員)の場合/派遣社員の場合/パート・アルバイトの場合
- 教育の職場から確認する:教員の退職(公立・私立)/保育・教育職が辞めたいとき
- ほかの職業を探す:職業から探す
参考文献
- 国家公務員法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000120
- 人事院規則八―一二(職員の任免)(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/421RJNJ08012007
- 地方公務員法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000261
- 民法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- 雇用保険法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116
- 国家公務員退職手当法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/328AC1000000182
- 労働組合法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000174
- 弁護士法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC1000000205
- 厚生労働省「こころの耳」https://kokoro.mhlw.go.jp/
最終更新:2026年10月

